クリニック通信

035. アウトブレイクは1人から始まる

2020/5/13

アウトブレイクは1人から始まる。

ウイルスは自らを複製、すなわち生存するために他の細胞を乗っ取ります。その連鎖の結果、咳・発熱・咽頭痛・倦怠感・下痢などの症状を引き起こします。感染者の免疫反応が普通ならウイルスを排除する抗体ができて治癒。しかし、免疫システムが正常作動しないと肺炎や多臓器不全で不幸な結果になります。

風邪は万病のもとです。
(1)HCoV-OC43
(2)HCoV-229E
(3)HCoV-NL63
(4)HCoV-HKU1
(5)SARS-CoV (2002)
(6)MERS-CoV (2012)
(7)SARS-CoV-2 (2020)

コロナウイルスは7種類あり、風邪の原因ウイルスの3分の1は普通のコロナ(1)〜(4)。他はライノ・アデノ・インフルエンザなど。(5)と(6)は、2002年と2012年それぞれ流行ったコロナ。特に2002年SARSは致死率10%で8000人に感染(死亡約800名)。症状のある人からの感染で再感染も無く、隔離のみで封じ込めに成功しました。

そして(7)が今回の新型コロナです。2020年3月12日にWHOがパンデミック宣言。3ヶ月経った5月12日時点で感染者約417万人(死亡28万人)で、致死率0.07%。最初の感染者は、他の2人くらいに感染し、それが倍々となり最後には膨大な感染者数が世界中へ。おもに中国→イタリア→アメリカの順にアウトブレイクしました。

コロナではありませんが、100年前にも世界的なパンデミックがありました。感染の仕方は、空気・飛沫・接触とあり、この時は吸ってうつる空気感染型であったため世界の人口の3分の1が感染し、最大致死率20% と言われています(統計資料が不正確)。 セントルイスの学校閉鎖が感染拡大を防ぎ、フィラデルフィアがパレードを催しクラスター発生したことは有名。余談ですが、原因のインフルエンザウイルスを突き止めたのは日本人とのこと(山内氏)。1918年、第一次世界大戦後のこのインフルエンザパンデミックの死者は約1億人で、これは2つの世界大戦犠牲者より多いという。なお当時の世界人口は約18億。現在は78億人。

さて、ウイルスの撲滅には感染力と致死率のバランスを考えます。感染力が強いのは、麻疹やコレラ、でも致死率は低い。感染力も致死率も中程度の天然痘は、撲滅できました。今回のコロナは麻疹より感染力は低く、エボラや天然痘より致死率も低い。2014年のエボラは接触感染なので感染者は3カ国のみの約5万人でした。一方でコロナやインフルエンザは空気感染です。この違いは大きい。2009年の新型インフルエンザも空気感染で20億人が感染しています。致死率の低い呼吸器感染症は撲滅が難しいのです。さらに面倒なことは、症状の出る数日前から感染力が最大ということ。犯人(感染者)を追う主人公、実は自分が犯人(感染者)だったというどんでん返しのようなことが現実となる可能性があるのです。

ワクチンで天然痘は根絶し、麻疹やポリオも激減。新型インフルエンザでは60歳以上は免疫があり、感染しにくかった。クスリの開発とワクチンによる集団免疫の獲得が解決方法であるのは明白です。しかし感染症への万能ワクチンも特効薬も無いため、とりあえずの方法で対抗する現在です。

(1)隔離 
(2)ロックダウン
(3)接触機会を減らしウイルス拡散を減らすソーシャルディスタンシング
(4)検査と追跡の徹底

これで果たして収束するのでしょうか。

不安材料はまだあります。そもそも新型ウイルスは動物から来る人畜共通ウイルス(zoonotic virus)で、人間は免疫を持たないのです。今回のコロナとコウモリの持つコロナ(Bat CoV-RaTG 13)の遺伝子ゲノム配列は96%が同じものです。コウモリというのは、もともとウイルス耐性を持つ生き物で、ウイルスまみれの生き物です。それを食べる人々の存在です。

そこで、
(1)野生動物市場のコントロールや閉鎖
(2)発生後の迅速な情報発信

これは今後絶対に厳守すべきで、今回発生源の中国の対応が3週間早ければ今の被害の95%は回避可能とのシミュレーションもあったりします。

かのビルゲイツ財団は、以前から戦争に備える金額とマンパワーを、呼吸器感染症パンデミックに備えた投資へ変換すべき必要性を訴えており、万能ワクチンの開発資金へも投資しています。一方でWHOを中心として日本を含めた200もの各国も、その必要性に同意して、署名までしていましたが進展なく、この有り様です。

政府しかり、WHO含めて世の中の目的が金や名誉の欲や忖度である以上感染症の克服が果たして可能なのでしょうか。トイレットペーパーやマスクの買い占めは身近な一例ですが、やりたい放題の人類に大宇宙からのアラート(警告)と考えて、今こそ地球規模で世界の人々の考え方や経済・教育システムを根本から見直す絶好の機会であると思わざるおえません。滅びるべきものは滅び、残れる資格のあるものだけが残る。自利利他で自身の使命と目的を見失わず役割を果たすまで。

さて何から始めましょう?
布マスク2枚?(笑)
アウトブレイクの始まりは1人から。
そして、革命が世界へ広がるのも1人から。

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