クリニック通信

005. 便秘

2019/4/5

飲食の管理は、排便の管理とも関連が大きい。食べたら出す。体に不要なものは早急に捨てる。

そこで、テーマは

便秘(専門的には慢性便秘症)

今までの下剤は、腸を動かすだけの少し強引な薬しかありませんでしたが、違う効能の薬が認可されて選択肢が増えました。

便秘とは、本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態、です。すなわち、生活習慣(便意を我慢しない、水分・食物繊維・発酵食品を十分に、運動の習慣、ストレス解消)の改善でも排便困難な場合に備えて、様々なタイプの薬があります。

(1)膨張性下剤

消化吸収されず腸内の水分を取り込んで、便を柔らかく膨張させて自然な排便を促す食物繊維のような薬。難点は服用回数や量が多く飲みにくい。時々高カルシウム血症。

(2)浸透圧下剤

マグネシウムを含む薬剤。小腸で浸透圧を利用して便の水分を増やして柔らかくする、割と古典的な薬。

(3)刺激性下剤

これまでの主流となっていた薬で、大腸に直接“動け”と働きかける。
しかし、“慣れ”て効果がうすれたり腸そのものの機能に障害を残すことがあるため、長期の使用は本来危険とされている。頓用または短期間での使用を推奨。市販薬に多い。

(4)上皮機能変容薬

新しいタイプの薬で、簡単に言うと、腸の水分吸収をコントロールして便の硬さを調整。種類によって特徴があるので便秘の個性に対して使い分ける事で効果を発揮。

(5)ポリエチレングリコール

欧米で便秘薬の第一選択なのに、つい最近まで日本では大腸内視鏡の前処置にしか使えなかったが、やっと保険適用になった。浸透圧効果により腸管内の水分を増加させて排便を促す。

一つの薬で効かなければ、量を増やすのではなく、複数組み合わせて使うと効果的で副作用も減らせることが多いです。さらに、漢方薬は種類も作用も多種多様なので、苦手じゃなければ併用します。

最後に、排便姿勢。和式便所のように、前傾姿勢をとると折れ曲がった直腸(肛門近く、便が待機してるいわば“便の待合室”)が伸ばされて便が通過しやすくなります。

快食は快便があってこそ。便秘は秘密にしないでください。

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