クリニック通信

007. e-cigarette

2019/5/7

正式には、ENDS(electronic nicotine delivery systems)電子的ニコチン提供システム、とでも訳しましょうか。従来の紙巻きタバコに変わる新型タバコのことです。(ニコチンを含まないものもあり)

主に2つの方式があって、タバコの葉を加熱して抽出したエアロゾルを吸う加熱式(iQOSとか、日本で一般的)と、液体(ニコチンや香料を混ぜたもの)を直接気化させて吸うもの(日本ではニコチンを含まない香料タイプのみ正式販売されています)があります。

他人に迷惑をかけないように、なんとかタバコを吸いたい、害が少ないから、禁煙の準備段階として、などの理由で新型タバコに変えた方も。

それでも少なからず残る副流煙と吐き出された呼出煙や独特の匂いは非喫煙者にとって、やはり気になるものです。

従来の紙巻きタバコの疾病リスクは言うまでもないと思われます。アジア人100万人10年間の追跡調査(2019年JAMA発表)で喫煙関連死亡率は上昇傾向であること、さらに非喫煙者の肺癌危険因子に大気汚染と受動喫煙が挙げてられています。受動喫煙は安全な曝露レベルのない発ガン物質であり、タバコ煙からのすべての有害物質を除去できる換気の技術がないことははっきりと証明されている、とWHOが断言しています。

不明な有害物質の多さから、加熱式タバコ製造トップシェアのアメリカ本国では、販売許可はおりていません。メーカーも「健康影響については科学的研究を継続中」と回答しています。その加熱式タバコの世界売り上げの9割以上は、日本です。

一部の健康懸念物質(日本のたばこメーカーの使用する用語)は減少した。しかし、あまり報道されていない点、例えばむしろ増えた有害物質、人体の影響が不明の物質が多数あること、さらに遺伝子レベルでの悪影響の懸念などは、忘れてはならない部分です。新型タバコのリスクは、使用する本人のみならず周囲に対する影響に関しても、まだ充分検証し尽くされていないと思われます。

e-cigaretteを規制する国は多数あります。将来的に未知の被害が報告されるかもしれない新型タバコ…紙巻きタバコに代わる嗜好品としての地位は安泰という訳にはいかないのではないでしょうか。

蛇足ですが…
毎年5月31日は世界禁煙デー。それから1週間は日本で禁煙週間となっております。

そこで掲げられているテーマは
「受動喫煙のない社会を目指して~たばこの煙から子ども達をまもろう~」です。

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