クリニック通信

018. 喘息

2019/10/6

大学で当直していたある夜。

救急車で運ばれてきた中年男性がいました。喘息発作です。いつも発作が続いてどうしようもなくなると、救急車で運ばれてきます。良くなるとすぐ治療をやめてしまいます。しょうがない人だな。と思っていたら、今夜は少し様子が違う。話ができない。本人から問診がとれない。とりあえず、胸の音を聴こうと聴診器をあててみた。
んっ?
全然聴こえない。苦しそうに息はしているようにみえるのに、呼吸してる音が全然聴こえない。

笛は隙間があるから鳴る。
空気の通る隙間がない詰まった笛は鳴らない。気管支がほぼ完全に詰まってしまいゼーゼーの音も出ない。このままでは窒息死。

口から気管に管を挿入し人工呼吸器につないで、強制的に呼吸をさせる。薬で意識を落とし自分の意思で呼吸ができない様に、いわゆる筋弛緩剤で。そうして点滴で発作を鎮める薬剤を使います。難しい治療です。

救急センター勤務の頃、夜中にしか来院しない喘息患者さんがいました。特に発作も無いのに、発作止めの吸入だけ欲しいと。苦しい時だけ治療をし続けていると、いつか、あのような目にあうと本人に言うのですが、他人事なのですね。命を粗末にしないでください。

現在の治療法は、圧倒的に吸入療法です。大きく分けて3種類ある作用の異なる携帯可能な吸入器です。この20年で著しい進歩です。極端な話、1日1回寝る前に吸っておけば、あのひどいゼーゼーから解放されます。

どんな病気もそうですが、日々の自己管理が大切。その上でわからないことがあれば主治医に相談です。

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